沈黙する機械が、ちょっと苦手だ、って噺

沈黙する機械が、ちょっと苦手だ、って噺
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何かをクリックする。

反応がない。

もう一度クリックする。

やっぱり反応がない。

こういうとき、落ち着かなくなりませんか?

私はかなり落ち着かなくなります。

処理に時間がかかっているだけなのか。
そもそもクリックを受け付けていないのか。
ひょっとして固まってしまったのか。
あるいは、ウィンドウの裏に何か確認画面が出ていて、こちらの返事を待っているのか。

何をしているのか分からないまま、ただ待つのが苦手なんです。

目次

動いているなら、動いていると教えてほしい

プログレスバーが出ているだけでも、ずいぶん違います。

数字が増えていかなくても、棒が少しずつ伸びていれば、

「ああ、まだやってるんだな」

と思えます。

昔のパソコンの、HDDのアクセスランプも好きでした。

チカ……チカ……と点滅していれば、何か仕事をしているな、と分かるし、

チカチカチカチカッと激しく点滅していれば、

「おお、なんか頑張ってるっぽい!」

と感じます。

負荷率が何パーセントなのかまではわからなくても、

点滅や、その速さだけで、機械がどのくらい働いているのか何となく伝わってくる。

それだけで安心できたものです。

それに比べると、最近の機械はとても静かになりました。

パソコンのSSDは音もしませんし、アクセスランプがないパソコンも珍しくありません。

もちろん静かなのはありがたいですし、逆にファン全開で爆音と熱風をまき散らしながら、

「今ものすごく頑張っています!」

と主張するゲーミングノートなんかも、特に静かな環境では困ってしまいます。

ほんの少し、

「今ちゃんと動いていますよ!」

と教えてくれるだけでいいんです。

車にも、もう少ししゃべっていてほしい

以前乗っていたエルグランドでは、運転席と助手席の間に自作のボックスを置いて、そこに電圧計を仕込んでいました。

電圧を四六時中監視しなくてはならないほど、バッテリーを消費するような装備をつけていたわけではないのですが、

数字が正常な値の範囲内であれば、

「今日も、電気系は大丈夫そうだな」

と安心できることが、私には大事だったんです。

だからなのか、昔からメーターがたくさん並んでいる車が好きです。

水温、油圧、電圧。

何をどこまで見ているかはともかく、機械の状態が見えるものが多い方が落ち着きます。

そして私は、車のアイドリングストップが少し苦手です。

信号で止まる。
エンジンも止まる。

すると、つい、

「これ、ちゃんと再始動するよね?」

と不安になってしまいます。

バッテリーが弱くなった車で、セルが元気なく回る時の焦りを経験しているからかもしれません。

最近の車のバッテリーは昔のものより高性能だと思いますが、それ以上に昔よりたくさんの電子機器を積んでいるように見えます。

もちろんライトがLEDになったり、省電力になった部分もあるし、車側もバッテリーの状態を見ながら制御しているのでしょう。

それでも、

「今エンジンを止めちゃって、バッテリーは大丈夫?」

と、やっぱり少し心配になってしまいます。

電圧計でも電流計でも、何か一つあれば、安心できるのでしょうけど。

そういう意味では、ハイブリッド車にあるエネルギーフロー表示も好きです。

今は回生ブレーキで充電している。
今はバッテリーで走っている。
今はエンジン側から充電している。

運転するために絶対必要な表示ではありませんが、

中で何をしているのかが少し見える。

それが面白いし、何となく安心できるんです。

昔から、反応してくれるものが好きだった

小学生のころ、ラジオやインターホンなどの電子工作をよくしていました。

線をつなぐ場所を変えれば、音が鳴ったり、ランプが点いたりする。
アンテナの向きを少し変えれば、ラジオの入り方が変わる。
アマチュア無線では、こちらから電波を出せば、向こうから人の声が返ってくる。
X Window Systemで、マウスポインターを目で追いかけるだけの xeyes を見ても面白かった。

役に立つかどうかではなく、

こちらが何かすると、向こうも何か反応してくれる。

昔から、そういうものが好きだったようです。

AIまで独り言を言うようになった

今使っているAIの中には、作業の途中経過を見せてくれるものがあります。

たとえばAIにちょっと込み入った作業を頼むと

「ここはちょっと手強いところです。」
「ちょっと条件を見誤りました。再度計算します。」

などと言いながら作業していることがあります。

あの独り言を言いながら仕事を進めていく様子が好きです。

全部の処理内容を細かく説明してほしいわけではなく、

「今ここを調べています」
「まだ処理しています」
「最後にもう一度検査をします」

というプロセスが見えると、ちょっと安心できます。

予想より時間がかかることもありますが、何も表示されず十数秒沈黙されるより、ずいぶんと気楽に待っていられます。

何も返ってこない沈黙の時間は、より長く感じられますね。

全部を見せてほしいわけじゃない

もちろん、機械の内部を全部知りたいわけではありません。

車のECUが何を計算しているのかを全部ナビ画面に表示されても困るだけですし、パソコンの処理を一行ずつ実況されても邪魔なだけです。

ただ、

「今は正常です」
「ちゃんと受け付けました」
「まだ仕事をしています」

くらいは、少し伝えてほしい。

「壊れちゃいました!」と、突然衝撃の告白をされるより、その途中途中で、少しでも機械の気配を感じさせてくれる方が、私は安心できるようです。

人間でも、話しかけて何も返事がないと少し心配になりますが、機械相手でも、案外似たようなものなのかもしれません。

人格まであれば、なお嬉しいですけどね。

沈黙する機械が、ちょっと苦手だ、って、そんな噺です。

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この記事を書いた人

デジタルのことや神社のこと、趣味や日々の中で気になったことを書いています。自分自身の記録も兼ねたICT310の管理人です。

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