初めてパソコン通信につないだ、って噺

Nifty-Serve
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私が初めて「パソコン通信」というものを知ったのは、就職後間もなく、ノートPCのDynaBookを買ったころでした。

今ならパソコンを買えば、まずインターネットにつなぐのが当たり前です。

スマホなら、そもそもインターネットと一体化しています。

でも、当時はそうではありません。

そもそも「パソコンで外部と通信する」ということ自体が、まだちょっと特別なことでした。

目次

モデムを買いました

パソコン通信をするには「モデム」という機械が必要でした。

私のDynaBookには内蔵できるメーカー純正のモデムがあったので、それを買いました。

たしか2400bpsだったと思います。

2400bps。

インターネットが当たり前の現在では、この数字を見てもどのくらいの速さなのか、さっぱり分かりませんよね。

画面に表示されていく文字を、目で追いながらしっかり読み取れるくらいの速さでした。

これが一番分かりやすいと思います。

その後もっと速いモデムも登場するのですが、それでも今のインターネットとは比較にならないほど、のんびりとした速度でした。

NIFTY-Serveにつないでみた

モデムを取り付けて、私が接続したのが「NIFTY-Serve」でした。

1987年にサービスを開始した、日本を代表するパソコン通信サービスの一つです。

今のインターネットとは違って、電話回線を使ってNIFTY-Serveの「アクセスポイント」に電話をかけて接続します。

ちなみに、この「アクセスポイント」という言葉も、今ではWi-Fiの方を思い浮かべますよね。

当時は、各地に用意されたパソコン通信へ接続するための電話番号でした。

なるべく近くのアクセスポイントを選ばないと、電話代が余計にかかります。

ちなみに、普通の電話回線を使うので、パソコン通信をしている間は家族が電話を使えません。
家の中に複数の電話機がある「親子電話」で、誰かが別の受話器を上げようものなら、通信が切れてしまうこともありました。

さて。

そんなふうにして、初めてNIFTY-Serveへ接続しました。

画面に文字「だけ」が表示されます。

メニューを選びます。

また文字「だけ」が表示されます。

さらにメニューを選びます。

また文字「だけ」です。

……。

これの何が面白いんだ?

最初は、本当にそう思いました。

写真もありません。

音声も動画も、もちろんありません。

ただ、文字が並んでいるだけです。

当時のNIFTY-Serveの画面がどんなものだったか気になる方は、こちらのページに実際の画面が掲載されています。 本当に「文字だけ」です(笑)。

フォーラムを見つけた

それでも、「せっかくお金をかけたんだから」と、あちこちウロウロしていました。

すると「フォーラム」というものがあることに気づきました。

そこは、特定のジャンルについて、いろいろな人が情報を書き込んだり、意見を交わしたりする場所でした。

自動車。
パソコン。
キャンプ。

「おぉっ! オレの好きなものがいっぱいあるじゃん!」

そこには、ものすごく深い話をしている人たちがたくさんいたんです。

面白かった!

自分と同じものが好きな人がいて、その人たちが自分たちの言葉で好きなものについて書いている。

こちらから感想を書くこともできるし、自分でも話題の最初のひと言を書くこともできる。

自分が書いたことに賛同してくれる人も出てくるし、質問をすれば、誰かが答えてくれることもある。

パソコン通信そのものが面白いんじゃなくて、その向こうにいる人たちとのやりとりが面白かったんですね。

ここから、どんどん「パソコン通信」に嵌まっていきました。

考えてみれば、今のSNSにハマっていくのと、本質はそれほど変わらないのかもしれません。

CB Simulatorを見つけてしまった

そして、さらに困ったものを見つけます。

「CB Simulator」です。

フォーラムへの書き込みは、今のSNSと同様で、特にリアルタイム性は必要ではありません。

ところがCB Simulatorは違いました。

そのとき接続している人たちと、文字でリアルタイムに会話するんです。

今なら大人数でのグループチャットと言えば分かりやすいでしょうか。

これが面白かった。

誰かが書いたことについて、何かこちらも返事を書こうとしている間に、別の人がちょっと別な話題を書く。

そこにまた返事を書く。

書いているうちに目的の会話が画面から消えている。

困りました。

文字を速く打てないと、会話についていけないんです。

タイピングは遊んで覚えました

私は今、小学生にタイピングを教えることがあります。

ホームポジションがどうとか、ローマ字入力がどうとか、そんな話もします。

でも、自分がどうやって速くなったのかと聞かれたら、

CB Simulatorで遊んでいたから。

たぶん、これがかなり大きいと思います。

頭で考えたことを、とにかく一心不乱に打つ。

速く打ちたい。

間違えずに打ちたい。

だって、話についていきたいから。

タイピング練習ソフトより、よほど真剣だったかもしれません。

楽しめば楽しむほど、お金がかかりました

ところが、当時のパソコン通信には大きな問題がありました。

アクセスポイントにつないでいる間、ずっとお金がかかるんです。

まずNIFTY-Serveの利用料金がかかります。

さらに、モデムからアクセスポイントへ電話をかけていますから、電話代もかかります。

フォーラムの記事を読む。

お金がかかる。

書き込む。

お金がかかる。

CB Simulatorで話す。

楽しい。

ついつい長い時間つないでしまう。

もっとお金がかかる。

困りました。

節約じゃ!

だったら読みたいフォーラム・会議室を一気に巡回して、電話を切ってからログをゆっくり読めばいいんじゃね?

返事とかも接続していない間に書きためておいて、次につないだときに一気に送ればいいんじゃね?

そんなことを考えて、巡回用マクロとかのツールも作りました。

通信時間を少しでも短くしたかったんです。

節約のためなら、プログラムを書く手間は惜しまない。

……何かがおかしい気もしますが、気にしてはいけません。

ところが、この「節約」はさらに右斜め上へ暴走していきます。

だったら、自分でやればいいんじゃね?

パソコン通信というものにすっかり慣れ、ひと通りの節約術を試みつつ悟りました。

楽しめば楽しんだだけお金がかかるのだと。

まぁ、これはパソコン通信に限らず、趣味というものはそういうものなのですが……。

「Niftyの利用料と電話料、これを節約できればいいんだ!」

なら。

自分の家にサーバーを立てればいいんじゃね?

……なぜそうなった?

そして実際に、専用の電話回線まで用意して、「草の根BBS」を始めることになりますが、その話は、また今度。

「草の根BBS」
個人などが自分のパソコンにモデムをつないで開設していた、小さなパソコン通信サービスのようなものです。
利用する人は、NIFTY-Serveではなく、その人の家のパソコンへ直接電話をかけて接続します。
今考えると、なかなかすごい仕組みですよね。

「文字ばっかりで、これの何が面白いんだ?」

そう思っていたはずなのに、気がつけば自分でパソコン通信の場所を作ろうとしていました。

どうやら、かなり斜め上の方に嵌まり込んでしまったようです。

初めてパソコン通信につないだ、っていう、そんな噺です。


参考:当時のNIFTY-Serveについて
@niftyには、当時フォーラムを利用していた人たちの思い出をまとめたページもあります。

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この記事を書いた人

デジタルのことや神社のこと、趣味や日々の中で気になったことを書いています。自分自身の記録も兼ねたICT310の管理人です。

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