初めてパソコン通信につないだ、って噺を前に書きました。
NIFTY-Serveにつないだり、草の根BBSを覗いたりしているうちに、
「自分の家にもサーバーを立てればいいんじゃね?」
と思ってしまった、というところまで書きました。
今回は、その続きです。
草の根BBSって、こんなものでした
今なら、掲示板でもSNSでも、URLを開けばそこにつながります。
でも当時の草の根BBSは、ちょっと違いました。
個人や小さなグループが、自宅などにパソコンとモデム、電話回線を用意して運営していました。
利用する側は、そのBBSの電話番号へモデムで直接電話をかけます。
当時は雑誌にも草の根BBSの電話番号が載っていて、そこから地元のBBSを探して接続していました。
電話代も従量制だったので、市内や近隣のBBSの方が安く済みます。
そんな事情もあって、草の根BBSにはかなり地域色がありました。
よし、開局だ!
時期は、たしか1991年ごろだったと思います。
BBSをパソコン上で動かすためのソフトは、たしかNIFTY-Serveからダウンロードしたのだと思います。
NIFTYにも草の根BBSに関する会議室があって、そこで情報を集めていたような記憶があります。
もちろん、今のように数秒でダウンロード終了、なんて時代ではありません。
回線は遅く、通信している間は電話代もかかるので、ソフトをダウンロードすること自体、それなりの作業でした。
それでも、一度ソフトを立ち上げてしまえば、あとは自分の家で好きなように動かせるわけです。
「実質無料でつなぎ放題になる!」
と、思って始動した計画ですが、BBSのソフトはPC-98シリーズ用。そして私はそのパソコンを持っていませんでした。
「むむむ。」
仕方ありません。サーバー用のPCを新調しました。
まぁ、この先通信代がなくなると思えば、先行投資のようなものです。
その時は、そう軽く考えていました。
とりあえず1回線でスタート
通信には9600bpsのモデムを使っていました。
PCとはRS-232Cというケーブルで接続します。USBなんて便利なものはまだ普及してなかったんです。
1回線での運用なら、PCに最初から付いているRS-232Cが使えたので、特別な増設も必要ありませんでした。
まずはサーバーのキーボードを使ってローカルログイン。
ちゃんとログイン画面が出るか
一般ユーザーとしてログインできるか
掲示板へ書き込めるか
チャットはちゃんと動くか
どうやら問題はなさそうなので、いよいよ開局!
と思ったのですが、実際に外から接続してもらおうとすると、電話回線の問題が出てきました。
家の電話と兼用できるの?
最初は、普段使っている家の電話回線と兼用して開局しました。
ところが外からBBSへ着信があると、モデムが応答するほんのちょっと前に、家の電話機が一瞬鳴るんです。
「プルッ!」
普通の電話着信だと思って受話器を取ってしまうと、BBSへ接続しようとしていた相手の通信が切れてしまいます。
そして、BBSには夜中に接続してくる人もいます。
夜中に突然、
「プルッ」
と一回だけ電話が鳴る。
これには困りました。
今では、光回線ひとつで電話もデータ通信も同時に使うことができますが、この頃の一般的なアナログ回線では、一本の電話回線を電話に使うか、通信に使うかのどちらかを選択する感じでした。
そして、誰かがBBSにつないでいる間、家の電話として使うことができません。
回線を兼用するのは無理だな、ということで、BBS専用の電話回線を引くことにしました。
専用回線ができてからは、別の回線から自分のBBSへ電話をかけて、実際の接続テストもできるようになりました。
自分の家から、自分の家へ電話をかける。
今考えると、なかなか妙なことをしていました。
24時間動かしてみる
BBSには、誰かが夜中に接続するかもしれないし、早朝にアクセスする人もいるかもしれません。
PCは必然的に24時間動かしっぱなし、ということになります。
当然、HDDも24時間回りっぱなしです。
1年くらい経った頃の夜中、静かな部屋の中に聞きなれない音が響きます。
「ギュワーン……ギュワーン……」
どうやらHDDから音が出ているようです。
24時間動かしているサーバーのHDDです。
もう、嫌な予感しかしません。
急いでバックアップ用のHDDを購入することになりました。
PCを用意して、モデムを買って、専用の電話回線を引いて、バックアップ用のHDDを買って、
いよいよ本格的に、自宅で草の根BBSを動かすようになりました。
1回線では足りない……。
NIFTYの掲示板に専用回線の番号を書いたような記憶がありますが、開局からひと月ほどで、会員が2桁になりました。
今度は別の問題が出てきました。
専用の電話回線は1本です。
つまり、
誰か1人が接続している間、ほかの人は入れません。
せっかく会員が増えても、複数の人が同時にログインしてチャットすることはできません。
サーバーに直結している私とだけはチャットできますが、それもいかがなものだろうか。
だったら――
回線を増やせばいいんじゃね?
また、余計なことを思いついてしまいました。
自分の家にBBSサーバーを立てた、って、そんな噺です。

